兵庫県の注文住宅建築設計事務所 松尾設計室のブログ

「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」設計事務所です。

「人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病」は最高に面白い本でした!!

「人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病」は最高に面白い本でした!!

もう読み終わってから1ヶ月以上経つと思いますが、ぜひ紹介したいのがこの本です。
著者はハーバード大学の人類進化生物学の教授で
最近徐々に流行りつつあるベアフットランニング(裸足でのランニング)
のブームの火付け役になった方です。
以前に「Born to run」(人は走るために生まれた)という
本を紹介したことがありましたが、あの本の元になったのもこの先生です。
http://matsuosekkei.blog85.fc2.com/blog-entry-1781.html

上記の本でも相当、目からウロコだったのですが、今回の本もそれと同等かそれ以上に
素晴らしい内容でした。

まとめるとこんな感じです。
・人がチンパンジーと別れたのは約600万年前

・最初の人類はできるかぎり果実で腹を満たしていたと考えられる。いざというときには
 木質の茎などのしつこく噛まないと噛みきれない固い繊維質の食物でも食べられる個体の
 方が有利になった

・二足歩行は四足歩行に対して消費エネルギーが1/4まで節約できる

・速さ、力、敏捷さをあきらめるのと引き換えに長距離ランナーとなり、道具もつくるようになった。

・二足歩行に移行したことで足首の捻挫、腰痛、膝痛などが発生するようになった

・260万年前から肉を食べ始めたと考えられる。 
 今現在熱帯地方の狩猟採集民は肉が食事の1/3を占める。(温帯だともっと多い)

・肉は同じ量の人参に比べて5倍のエネルギーが得られるだけでなく、必須タンパク質と脂肪もとれる
 その他亜鉛、鉄分等栄養の宝庫であった

・高い鼻は長距離歩行中も身体を涼しく保つのに役立つ

・現存する人間は30万年前から20万年前のアフリカ(コンゴのあたり)に端を発する

・10万年前から8万年前にアフリカを出て各地に分散した

・最初の人類集団は3000人以下だった

・現代人の全員が2から5%程度のネアンデルタール人の遺伝子が含まれている

・立つことができるようになった結果、喉の形状が話すことに適した形状となった

・初期人類は1日15kmほど身体を動かしていたとかんがえられる

・ジャレド・ダイアモンドに言わせれば農業は「人類最大の過ち」だった
 濃厚牧畜民は狩猟採集民よりも多くの食物を手に入れられる。かわりに
 食事の質は低く天候によっては飢餓に見舞われる機会も増える。
 また人口密度が高いため、感染症も流行りやすくなった。

・今私達を苦しめているミスマッチ病(運動不足、糖分過多、食物繊維不足等による様々な病気)
 の大半は狩猟採集から農業への移行に端を発している

・狩猟採集民の食生活は植物だけでも何十種類もの種をきせつにあわせて摂取する。
 対照的に、農民は植物の質と多様性を犠牲にして量を優先する。結果としてビタミンやミネラルが
 圧倒的に少なくなった。

・狩猟採集民が餓死する確率は農民より何桁も低かったと考えられる

・狩猟採集民は澱粉をほどんととらなかったので、ほとんど虫歯がなかった。(2%)ところが
 農耕をしはじめてから、虫歯が急増した。(13%以上)

・初期の農民の時点から炭水化物による糖質過多による糖尿病が発生していたと考えられる

・農民の身体活動レベルは農機具がなかったことから狩猟採集民より少しだけ高かった。

・農業による永住はゴミや糞便の場所を固定化することになり不潔さを冗長した。その結果伝染病も広がりやすくなった

・狩猟採集民は平均的なアメリカ人に比べて炭水化物は7,8割
 糖類は1割、食物繊維は5倍から10倍、ビタミンCは5倍から17倍、Dは20倍
 ナトリウム(塩分)は3割、カリウム(野菜、果物)は5倍程度摂取していた
 (多分、そういう栄養配分に基づいて人間の体は進化していると考えられる)

・焚き木や外の音、そばで寝ている人の音、睡眠環境はある程度音がするのが一般的だった。
 (車の助手席や電車の中が寝やすいことからも納得!)

・年齢によって睡眠時間帯が異なるのは、部族で生きながらえるときに、外敵から身を守る
 ための防衛手段であったのかもしれない

・同じ甘いものでも、果物とお菓子では食物繊維の有無が異なる。食物繊維がある分
 果物は血糖値があがりにくい。(とはいえあがる)

などなど・・・・

まだまだ、面白いことがたくさん載っていますが、全部書いてしまうと読む価値がなくなってしまいます。
今の栄養学の観点だけでは分からない、人間が真にあるべき姿が分かるような気がする本です。
また、ご先祖様がどのように生き延びてきたのかという究極の歴史書であるとも言えるでしょう。

今年読んだ本の中ではベスト1と言ってもいい本だと思います。


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12月12日(土)に西宮にて見学会を開催します!(予約制)

12月12日(土)に西宮にて見学会を開催します!(予約制)

詳しくは下記のページをご覧の上ご予約下さい。
http://www.matsuosekkei.com/kengakukai.html

今年は超がつく暖冬で今日(11/24時点)ではほんとに寒さを感じにくいです。
普段は寒さなど願わないのですが、せっかくの見学会だけは寒いほうが真価が分かってもらいやすいので
寒さが来てくれるとありがたいと思っています。年末でお忙しい時期ではありますが
たくさんの方のご来場お待ちしております!
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もはやプリウスは燃費だけの車ではない!!

もはやプリウスは燃費だけの車ではない!!乗り心地
走りといった味の部分でも立派な車になっているようです!!

2,3日前に世界ではじめてメディア向けに新型プリウスの試乗会が開催されたようです。ということで自動車評論家や自動車関連メディアが一斉に試乗記をアップし始めました。(今日の時点でベストカーやカートップのような雑誌ですら、まだ掲載されていません。次号はこればかりになります)

 興味津々で20~30人の試乗記に目を通しました。ほぼすべての試乗者が
「別次元の乗り心地、走り味、もはや燃費だけの車ではない!」という絶賛の評価です。そんな試乗記の中でも一番詳しく、好感が持てる試乗記が下記の試乗記でした。
http://www.webcg.net/articles/-/33606

以前にも何度か紹介したように、私は初代、二代目、三代目のすべてを所有してきました。(3代目だけは社有車として)しかも初代と2代目はそれぞれ10万キロ以上自分で運転したのでその進化の具合はデータと肌感覚の両方で知っています。

プリウスは燃費が良いだけではなく、室内もそれなりに広く、荷物も結構
乗せられました。しかしながら、乗り心地、騒音はお世辞にも良いとはいえませんでした。ましてや運転する楽しさという部分に関しては最低の車でした。それが理由でプリウス乗りを辞めてしまいましたが、プリウスの進化は
あるべき順序をたどっていると思います。まずは燃費をしっかり良くすることに専念し、そのあとで味の部分にもしっかりと改良を加えてきたという順序です。

私は世帯年収が750万くらいまでの家庭が幸福に暮らしていこうとするならば、この順序を守るべきだと考えています。これは個人的意見というよりも燃費計算と幸福学という学問を両方勉強すると自ずと行き着く結論です。

しかしながら、住宅の世界ではいまだ、初代プリウスのレベルまで行っている住宅すら少ないのが現状です。しかも、そこまで行っていないのに味ばかりを追求するほうに走っている例が大半です。(もちろん予算にほとんど関係がない部分の味に関しては最大限注力すべきです。)

年収に対して、燃費、維持費の高い車を買ってしまった家の家計がどうなるのかは誰もが知っている話です。平均的な家庭では住宅は自動車の3倍、一次エネルギーを消費します。単純換算するなら、平均的な家庭では光熱費がガソリン代の3倍かかっているということもできなくはないのです。

しかも、車のように平均11年で買い換えたり、その都度大幅に燃費が良くなることもありません。さらにいうと、車の中で過ごす時間は大半の方が1日1時間以内ではないでしょうか?ひるがえって、住宅は最低でも8時間以上はいるでしょう・・・

これだけの事実があるからこそ、国民のことをきちんと考えている国では厳しい断熱基準(燃費基準)が設けられているわけです。
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10年前を思い出した公開審査となりました。


昨日のエコハウス大賞は若干31歳のモルクスの佐藤さんが受賞されました。審査員全員一致、来場者投票でも1位のぶっちぎりの内容でした。私個人的には10年に一度の逸材、天才といってもいいと思う出来映だった思います。 
 このシーンを見た時に10年前のワンシーンが頭をよぎりました。私がちょうど30歳だった2005年、サスティナブル東京世界大会でサスティナブル賞を受賞したのです、誰も私のことなど知りませんでしたが、そこからいろんな活路が開けました。そのきっかけを作ってくださったのが今は日経アーキテクチュアとホームビルダーのプロデューサーになられた小原さんです。当時は一編集員でした。

 偶然ですが、その小原さんがこの審査を見に来てくださっていました。だから余計に10年前のことを強烈に思い出したんだと思います。あれからもう10年も経ったのか・・・と本当にあっという間に駆け抜けたような10年でしたが、佐藤さんはこれから大きく羽ばたいていくことと思います。
 
 ああいう若手が出てくることは本当に大きな刺激になります。

今朝は朝から鎌倉でPHJミーティングに参加し、昼からはまたビッグサイトで
ミライセッションのあと、今日は京都に宿泊し、明朝から滋賀で打ち合わせと引き渡しがあります。日曜だけは休めますが、月曜は福島日帰りが控えています。
月曜が終わるまでは体力勝負です。
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自分が体感していなければ相手を説得することはできない

昨日今泉さん他YKKAPの方とパネルディスカッションをしていて大切なポイントに何点か気が付きました。

一つ目は私と今泉さんが断熱に目覚めたのは原体験があったこと

私は高1の時に集合住宅から某住宅メーカーの新築住宅に引っ越したら
暑いの寒いの・・・とにかく最悪で、見た目は前よりずっと豪華になって
るのに室内環境の悪化は如何ともしがたいという矛盾を感じたところが
スタートでした。

今泉さんも一度某大手住宅メーカーで家を新築したそうですが、それが
寒いし暑いし・・・というところから研究しはじめたとのこと・・・

二人共、不快だった経験、そしてちゃんとした住宅を建てればそうは
ならないことを知っているからこそ、いくらでも話ができるし、説得力も
出てくるのかもしれません。

次に、私も今泉さんも寒がりだということ
だから、8割の女性が冷え性というところからすると女性の寒さ
感覚だけは手に取るように分かるつもりです。寒がりの人にとって
寒さは大敵ですし、暖かさは何よりの快適性です。

しかし・・・、工務店の社長をやるような人はもともとパワーも
バイタリティーもあって筋肉量が多いようなタイプの方が多い
という現実があります。実際筋肉量が多いと食事から得たエネルギーを
熱に変える能力が高いということになるので、寒さを感じにくいと
言われています。そのような方には暖かさを体感させたとしても
最悪の場合「俺は前くらい寒いほうがええけどな」とさえいう人が
います。自分がそう感じるのは全く悪いことではありませんが、
このような自分目線を顧客にもそのまま提供する業者は残れないでしょう。

次に、YKKAPさんもなんとか樹脂窓を拡大したいと考えてますが
一番費用対効果が高いのは、使ってもらおうと思う会社のキーマンの
住宅です。LDKだけでも格安か、サービスで内窓をつけてあげるということ・・・(特に寒さを感じるようになってからの時期が最高)
ご自身は仕事ばかりで家にいる時間が短くても、奥さんと子どもから
絶賛の声を聞くことになるので必要性を実感できます。

その次に効果があるのはYKKAPの営業自身の自宅でもLDKから順に
内窓をつけて実感させるということ。帰りの車の中で話していたのですが
「惚れてもいない女性を惚れてるように見せかけて口説き落とせるほどのテクニックを持っている営業マンがどれだけいますか?」と不意に私の
口から出たのですが、えらく共感されてました。自分で言ったことば
ですが、まさにこれだと思います。今泉さんも私もそうですが、不快さと
快適さの両方を知っている人間は心の底からの気持ちがこもった話
ができます。これは上手い下手とは別の次元の話です。

そして、その気持があれば目の前にみすみす変な選択をしようとしている人がいるともどかしくて仕方がありません。だからこそあの手この手を使ってなんとかしようと考え、行動するのです。

ものすごく基本的なことですが、これを言語化して皆で共有できたことは
昨日の大きな収穫であったと思います。
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今日夜11時からNHKEテレで 「数学ミステリー白熱教室」というのが全5回で放映されます!!

今日夜11時からNHKEテレで
「数学ミステリー白熱教室」というのが全5回で放映されます!!
ちょうどつい最近出版され、読み終わったばかりの
「数学の大統一に挑む」という本のテレビバージョンです!!

この本、私にはドンピシャでした!!

近日中に紹介しようと思っていたら今日テレビ欄で発見!!
ちょっと興奮してしまいました。

今の文明があるのは様々な分野の学問が進んでいるからなのは
言うまでもありません。

医学、生物学、地学、航空工学、船舶工学、自動車工学、IT、化学
果ては音楽までも物理が基本になっています。

ということは、物理が進展しなければ文明の発展はありえない
わけです。

工学だけしか勉強していない人は物理はすべてわかったように言う人がいますが、全宇宙の構成物のうち正体がわかっているのはわずか5%であることがわかっています。残りの95%のうち23%が暗黒物質、72%が暗黒エネルギーであることは何度か紹介したかと思います。

また、物理の世界では4つの力しか存在しません。
強い核力、弱い核力、電磁力、重力です。

この4つの力のうち矛盾なく説明できる理論が完成しているのは
電磁力だけです。

強い核力、弱い核力も追加した3つの力を共通で説明できれば大統一理論といいますが、
それはかなりいい線までいっていますが、まだ証明には至っていません。

最後の超難関、重力に関してはほぼ全く証明の目処が立っていないといっても過言ではありません。

そんな重力すら含めて矛盾なく説明することができる唯一の候補理論が
超弦理論であることは今まで何度か説明してきました。

実はこの超弦理論を進展させるにおいても数学の進展が必要不可欠なのです。

前半の説明であらゆる物理があらゆる学問分野の道具というかいしずえとなっていることを説明しました。
しかし、数学はその物理のさらに道具でありいしずえであるのです。ということは数学は文明すべての
いしずえであるといっても全く過言ではないのです。

実は数学の分野もまだまだ未解決の問題がほとんどで、中学で習った素数のことですら
全くわかっていないというのが現実です。

しかし、数学が進展すれば、超弦理論も進展する。超弦理論が進展すれば、4つの力の統一も
暗黒物質も、暗黒エネルギーもおそらくすべて解明されると思われます。

今はよくわからない、テレパシーや霊、タイムマシンといったオカルトと言われるような分野も
理論的に説明できるようになる可能性すら秘められています。

そんな超弦理論の世界で世界一と言われるのがエドワード・ウィッテンという人物です。
今まで私はこの人物が地球上で最も最先端の頭脳の持ち主だと確信していました。
この分野が好きな人であれば異論がないと思われる人物です。地球上に60億人ほど
いますが、明らかにこの人の頭の中にしか存在しない宇宙の真理の最先端があるからです。

このエドワード・ウィッテンは物理学者でありながら数学界のノーベル賞であるフィールズ賞
も受賞するほどの超天才です。昔マイケル・ジョーダンがバスケ引退後にメジャーリーグに挑戦
しましたが、そこでもトップになるのと同じことを成し遂げたわけです。

そんなエドワード・ウィッテンも数学の専門家ではありません。数学の世界で彼を支えており
かつ、数学界でも世界で10名分かるかわからないかの最先端理論を構築しているのが
今回この番組の講師であるエドワード・フレンケルです。

若かりし頃、ロシアの大学入試で全問正解でありながら、親がユダヤ人ということで
迫害を受け、地方大学にしかいけませんでした。そこから地道に数学を続けた結果、
一本の論文のおかげでハーバード大学から招聘がかかり、今にいたっているという壮絶な
人生を読むだけでも楽しい本でした。

しかし、彼を知って改めて思いました・・・
この二人のエドワード、さらにベタなところでいうとアインシュタイン・・・
超がつく弩級の天才はたいていユダヤ人であるということ・・・。


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幸福度世界一の国デンマークの感想(9)

幸福度世界一の国デンマークの感想(9)

前回風力発電のお話をしたのでそのついでに、風力発電、もしくは日本では誤って報道されたり誤解されている自然エネルギーに関する事実を紹介しておきたいと思います。

 まずは、風力発電に関する誤解は以前まとめたのでそちらを見て下さい
http://matsuosekkei.blog85.fc2.com/blog-entry-2699.html

ここにも書きましたがこの中でも重要なところを再度説明します。

・風力発電(太陽光も同じ)の台数が増え、地域が分散するほど負荷変動が平準化される。
太陽光発電との相殺効果が非常に高いのも特徴です。一般論としてですが、太陽がよく照る日は風が少ない。逆もまたしかりということです。昼夜、夏冬にしても同様のことがいえます。日本では風力7:太陽光3くらいが費用対効果の点でベストバランスではないかと言われていますが、現状では圧倒的に太陽光だけが突出して普及してしまいました。
 
・風況予測との連携が進んでいる。
スペインでは全国28箇所に分散して配置された地域制御センターを通じて、スペイン全土の10MW以上のすべての風力発電所と通信回線で結ばれており、各風力発電所の出力がリアルタイムで把握できる。各風力発電所の風光、風速、温度などの情報に基づき、風力発電の出力予測を行う。それに応じて他の電源の5時間先の調整力を計算する。

 原発事故前、日本ではまずは原発が「ベースロード電源」と言って、一番最初に利用される発電源でした。次が火力で一番安い石炭、そして次に安いガス、最後一番使うときには石油の登場という順が絶対でした。そこにほんの数%の自然エネルギーを載せようとするから「自然エネルギーは不安定」というレッテルが貼られ、そこから自動的に「蓄電池が必要」となっていました。しかし、ヨーロッパの国々では自然エネルギーこそがベースロード電源のように扱われるようになっています。

よく考えてみてください。確かに自然エネルギーはまだ、イニシャルコストは火力より少々高いです。(陸上風力に関しては石油に迫りつつありますが)とはいえ、一旦作ってしまえば、CO2は出さないし無料だし、これを使わないという論理はありえないわけです。だから、これを第一優先にして使います。そして、量と地域が増えたことによる平準化と最先端のネットワークと天候予測技術を駆使することで調整しやすい火力発電にて需給を調整するというしくみです。

このやりかたであれば、自然エネルギーの導入率が20%以下では蓄電池など経済的にありえないわけです。日本は真に合理的かどうかよりも蓄電池メーカーの売上や宣伝広告の方が優先される傾向が強いと言わざるを得ません。蓄電池が必要になってくるのは50%を超えてからというのがヨーロッパ諸国の考えです。デンマークの場合あと10年ほどで達成しそうな勢いです。スイスにおいても、自然エネルギーからの買い取り価格が市場の電気価格よりも低くなってきたため、自家消費したほうが得になっています。

その結果、自動的に電気自動車が売れるようになっています。これはさらに続く好循環につながるのですが、自然エネルギーの「不安定さ」を補完することにもなり、各家庭の災害時の非常用エネルギーにもなります。

 このように、極めて合理的で美しい好循環の元に政策、企業活動が動いているといえます。先日もデンマークでいろんな方のプレゼンを聞きましたがどこに行っても「2050年にCO2排出量をゼロにしなければならない。そのためには・・・」というプレゼンからスタートする感じでした。これは近隣諸国でも似たような傾向にありますが、日本でこのような話を聞くことはめったにありません。(特に政府関係者からは・・・)

 あともうひとつ・・・、ドイツで必ずやり玉に挙げられるのが「ヨーロッパは地続きだし、フランスの原発から電気買ってるから日本とは事情が違う」という論説です。かなりの方がこの説を信じているようですが、これもデータを関係者の都合の良いように取っただけに過ぎません。これに関しては下記のサイトに詳細に説明されています。
http://jref.or.jp/column_g/column_20150907.php

要するに商取引ベースではフランスはドイツから電力輸入量の方が多い反面、実際の電気の流れはフランスからドイツに流れる量の方が多くなっています。その理由は単純にドイツ経由でイタリアやスペインに流れている量がカウントされているからに過ぎません。その部分は説明されている大手メディアは未だないのではないかと思います。

 いかがでしょう。ヨーロッパ諸国、ひいてはアメリカや中国までが自然エネルギーを真剣に増やそうとしている理由が多少はご理解いただけたでしょうか・・・

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幸福度世界一の国デンマークの感想(8)

幸福度世界一の国デンマークの感想(8)

今回はデンマークのエネルギー政策と教育について書いてみたいと思います。2014年の年間総発電量に占める風力発電の割合が39.1%と2014年時点で国単位では世界記録を樹立しました。
 デンマークは人口560万人なので、北海道の547万人とほぼ同じ規模です。寒さは
北海道の方が寒いですが・・・この北海道での風力発電の割合はわずか3%程度でしかありません。北海道は日本では有数の風力発電地域と言われています。それでも10倍以上の差がついているわけです。

 日本は重工業地域で、デンマークは人口が少なくて・・・と言われますが、北海道と比較すると、一人あたりのGDPもはるかに上回っており、北海道と同じく全館暖房が普及しているデンマークとの差はあらゆる言い訳を超えた差であるように思えます。
 また、日本と大きく異なるのはその所有者です。日本ではメガソーラーもそうですが、大手企業等が所有していることが多いです。ところがデンマーク(またその周辺国)では約85%が個人の出資によって設置されたものだそうです。自然エネルギーはとかく発電単価だけで「話にならない」と一蹴されがちですが、ここに大きなポイントがあります。

その辺りはお馴染み村上敦さんの著書が詳しいのでそちらをご参照下さい。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%AD%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC-~%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E4%BE%A1%E5%80%A4%E3%81%AE%E5%89%B5%E9%80%A0%E3%81%A7%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E6%B8%9B%E5%B0%91%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8D%E6%8A%9C%E3%81%8F~-%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%9A%E3%81%88%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%9D%91%E4%B8%8A%E6%95%A6/dp/4861310415

 要するにポイントは海外に出て行くお金を地域内で回すということです。滋賀県を例に上げると、滋賀県の総生産の約5%に相当する3000億円程度が毎年エネルギーの輸入費として海外に渡ってしまいます。これは滋賀県内の建設業の総生産2600億円をも上回る金額です。多少高くても、CO2を排出せず、貿易黒字にも貢献し、かつエネルギー安全保障も完璧、かつ設置やメンテナンスにおいて雇用が生まれ経済も発達するという仕組みです。こういう大枠があるからこそ、ヨーロッパ諸国は必死で風力発電を個人出資でどんどん増やしていっているわけです。日本のメディアにも少しづつではありますが、この考え方を掲載してくれるところが出てきましたが、まだまだ極めて少数派です。この考え方をおそらく最初に日本に持ってきて、今も日本中に広めようと活動しているのがいつもお世話になっている環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんです。

 デンマークでは2025年にはこの比率を50%に増やすとされており、実際世論調査でもデンマーク人の80%が「風力発電をもっと増やすべきだ」と考えているそうです。

 このようになる背景にはやはり教育の影響が大きいようです。小学校の環境教育の課題で「高速道路の建設問題」を議論しあったりするそうです。動植物の生息地を奪うというマイナス側面と物流のスピードアップによる産業の活性化といったプラス面を議論させるそうです。これはほんとに一つの例でしかありませんが、小学校低学年からこのような教育がずっと行われているようです。日本のように「国語」「算数」「理科」「社会」のように縦に分割され、かつ記憶だけが重視される教育ではいくら偏差値が高くなっても国や地域が良くなる可能性は今後も低いと言わざるを得ないと思います。
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幸福度世界一の国デンマークの感想(7)

幸福度世界一の国デンマークの感想(7)
「大工の時給1万円!!」
だそうです・・・。日本だと良くて3000円くらいでしょうか・・・

この数字を見ただけでも驚かれると思います。しかし、言いたいのはそこではありません。以下本からの引用です。

「デンマークで働く職人は同一職種では雇用先、国籍に関係なく同一の報酬が保証されているのです。(これだけ見ると少々社会主義的ですね)安い労働賃金で諸外国から労働者を入れることを許容すると人件費の高いデンマークの労働者は職場をうばわれることになります。安い労賃がまかり通ると早晩、デンマーク人の労賃もダンピングされていきます。悪貨が良貨を駆逐するように最低賃金が最低賃金をつねに追い抜いていくのです。そして、全体として労働賃金が下がっていくと税収が減り、その反面で失業保険、生活保護などの国の負担が増加します。」

これは簡単に答えが出せる問題ではありませんが、まさに日本が歩んで来た失敗の部分を見事に表現しているようにも見えます。

これらのことが可能にするために職人の労賃の決定に関して職人組合がお大きな力を持っているようです。日本と違うのは企業別組合ではなく、職種別の組合となっていることでデンマークには33の職種別組合があり、労働人口の8割がこれに加入しているとのこと。なので、企業間の価格競争も日本ほど激しくないということでしょう。

これは日本人からするとある種の談合に見えるかもしれません。しかし、日本でもこれに近いのが医師会ではないかと思っています。元から医師の世界は給与が高いという印象が持たれることが多いですが、それは医師という職業の世界では同サービス同給与というのが徹底されているからではないかと思います。これができると、業界の給与水準が上がるでしょうが、価格を下げることで勝負する業者は残れなくなる確率が高いです。イコール価格だけで勝負する安売り業者が存在しにくくなるので粗悪品が減る可能性が高くなること、社会全体が付加価値重視型に変わる可能性が高いとも言えるのかもしれません。

そのかわりといってはなんですが、それぞれの職業につくためには職業別専門学校を卒業しなければなりません。また、職種によっては大学の指定の学部を卒業していなければなりません。このあたりはドイツなどのマイスター制度とも似ています。
 
 こういった制度を見ていて思うのは日本で今問題になっている職人不足、職人の地位低下、職人の一定知識の欠如、といった問題がほぼ解決されているということです。こういった国では変にホワイトカラーになるよりも職人の方が給料が良く、安定していることがよく見受けられます。またパンならパン、大工なら大工でマイスターを取らなければ、店主になることができません。そしてそうなるためには、大工になるための最低限の知識はもちろんのこと、建築物理、お金の扱い等園周辺に関わる最低限の項目も勉強しなければならないようです。だから、あちらの職人さんは日本の職人さんよりも仕事は雑なところもありますが、広範囲な専門知識を身につけている方が多いです。そして、尊敬されているということがよくわかります。

 このあたりに関しては大前研一さんなんかもドイツのマイスター制度を日本に入れるべきだと提言んしており、実際つい数カ月前、日本でも日本版マイスター制度なるものを「かる~く」発表しました。http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505/2015052400068

時に日本もこういった良い発表をするのですが、どれも真剣さが足りず、ほとんんどが掛け声倒れで終わってしまうんですよね・・・。そういうの見るたびに複雑な心境になります。

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幸福度世界一の国デンマークの感想(6)

幸福度世界一の国デンマークの感想(6)
「国民と国家の連携が悪い国は幸福感が低い」
デンマークツアーにいく前にデンマーク関連の本を2冊
「なぜデンマーク人は幸福な国をつくることに成功したのか」ケンジ・ステファン・スズキ著

「格差と貧困のないデンマーク 世界一幸福な国の人づくり」千葉忠夫著
を読んでました。

また帰国後、希少ですが負の側面もたくさん書かれている本も一冊読みました。

ケンジさんの著作の中で以下のような記述がありました。

「日本滞在中にNHKスペシャルでワーキングプアを取り上げた番組を見ました。勤労世帯の厳しい生活状況、派遣労働で働く若者たちのアリ地獄のような労働実態にも驚かされましたが、もっと驚いたのは番組放送後の政府の対応でした。次の日には厚生労働大臣がテレビに出て、対策案あるいは打開策を提案すると思っていたのですが、一部のわずかな反応を除いて他のマスコミも政治家も番組が提起した問題に対して、正常な感覚での反応がありませんでした。これには正直失望しました。自国の世帯数の10%にあたる400万世帯がワーキングプアだとマスコミが報道すれば、それは大問題です。問題解決のためのメッセージや対策案を国民のために示すのが政治家・行政官僚に課せられた職務だとデンマーク国民は考えるからです。」

とありました。これを読んだとき、「デンマークではそんなに日々素早くレスポンスがあって改善がなされようとしているんだ!なんて緊張感があるんだ!」とほんとに大きな驚きと感心をもって読みました。しかし、考えてみれば、これが当たり前の姿であって、決して特別な姿ではないはずです。

私は日経新聞やNHKスペシャルを読み始めて20年ちょっと経ちます。しかしながら、報道後数日内にこういうことに関して反応があった記憶はほとんどないです。でも、僭越ながら私は影響を受けやすいたちなのか、NHKスペシャルで印象に残ったことは過去10年間のブログで何度もとりあげて来たと思います。これは他人事でも自分のことのように感じることができるかどうか?もしくはそれが自分にも振りかかる可能性があると考える能力に直結していると思います。

ノーヘルでバイクを運転している若者も「まさか俺が大事故起こして半身不随になる」なんて微塵も思わないからああいうことをしているわけでしょう。一個人ならそれでもしかたがないところがあります。しかしながら、政治家、官僚というのは本来、国民、市民等の役に立ちたいというところが存在意義であるはずです。そんな彼らが、メディア等が重大な社会問題を提起しても放置している・・・。しかもワーキングプアだけならまだしも、考えてみてください。年金未納問題だって、原発事故問題だって何ら解決していません・・・今は旭化成建材の杭事故の問題ばかりですが、喉元すぎればなんとやら・・・でほとんど無視を決め込んでいるような状況です・・・・。

 監視する側の国民がすぐに重大問題を忘れてしまうのも大きな問題です。しかし、それを見越して時がすぎるのをずる賢く待つだけの側も大問題です。他人事だからすぐに忘れてしまう・・・それが紛れもない事実です。しかしながら、年金が自分に支払われない・・・もしくは原発事故で自分が被害を受けたのに納得いく保証が得られない・・・こんなことがあっても忘れてしまう方なんていないですね・・・。こうやって、泣き寝入りする方がたくさんいるのが日本の現状と言えるでしょう。
 これが中国にいくと、もう3段くらいひどい・・・。先日もバイクで橋を走行中に突然橋が自然崩壊して半身不随になっている男性を取材していました。どこを回っても「天災だと思ってあきらめなさい」としか言われず、体が治らないのはもちろんのこと、どこからも金銭的保証はでなかったそうです。

いろんな国に行っていると、デンマークのような少しづつの改善を繰り返したことで進化し成熟した国、中国のように発展途上の国、その間に位置する日本のような国というのが明確に見えてきます。

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