兵庫県の注文住宅建築設計事務所 松尾設計室のブログ

「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」設計事務所です。

「家庭からの二酸化炭素排出量の推計に係る実態調査」のまとめ

先日、村上敦さんが紹介していた
環境省制作による
「家庭からの二酸化炭素排出量の推計に係る実態調査」を
読み終えました。
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/kateitokei/chosa35.pdf
今まで見た一般家庭のエネルギー消費に関する実態調査の
中で一番くわしいデータであったと思います。
全国あちこち講演で回って来ましたが、それでも分かっていない
ことを新たにたくさん知ることができました。
本当に抜粋ですが、まとめておくと下記のようになります。
・家庭のCO2排出の7割が電気による
・一世帯あたりで比較すると集合住宅は戸建住宅の約半分しかCO2を排出していない
・60歳までは年齢が増すごとにエネルギーを消費しているが
 60歳を超えると減っている
・世帯当たり自動車用ガソリンの使用量も集合住宅は戸建住宅の約半分
・1月のCO2排出量が圧倒的に多い(8月のほぼ倍)
・集合住宅は暖房エネルギーが圧倒的に小さい(戸建ての約1/3)
・集合住宅の電気消費量は戸建住宅の約半分
・都市ガスの使用量に関してだけは戸建てよりも集合住宅の方がほんの少しだけ多い
・灯油の使用量に関してては戸建ては集合住宅の約5倍消費している
・年間自動車燃料費として戸建は年10.1万円、集合住宅は年5.0万円、平均で7.8万円使っている。
・戸建で一番使われる暖房器具は灯油ストーブ類で35.6%、ついでエアコンで25.5%
・集合住宅で一番使われる暖房器具はエアコンで33.8%、ついで電気カーペットこたつで25.2%
・戸建ての平均エアコン台数は2.8台、集合住宅は1.5台
・戸建ての太陽光発電設置率は12.1%、2011年以降の新築に限ると31.3%
・太陽光発電の平均容量は4.5kW
・地方別のCO2排出量は北海道を押さえて北陸が最も多い。逆に関東甲信越がもっとも少ない。北海道、中国地方も悪く、東海、近畿、九州、沖縄は良い
・自動車燃料にかかる地方別のCO2排出量も北陸が最悪。関東甲信越と近畿は非常に少ない
・集合住宅比率がもっとも高いのは沖縄で53%、ついで関東甲信越の52%、もっとも低いのは北陸の24%
・戸建住宅の平均世帯人数は2.90人、集合住宅は1.96人
・世帯人数が最も多いのは北陸
・戸建住宅の平均面積は130.8㎡(39.56坪)、集合住宅は59.2㎡(17.9坪)
・地方別の延床面積は北陸が最大で135.6㎡、沖縄が最小で87.0㎡
これらをまとめる中で、北陸の特異性がよく見えてきました。昨日まで金沢におりましたが、寒くて日照が少ない。さらに戸建住宅比率が高く、家族人数が多い。そしてたくさんの車を所有し、結構な距離を走る・・・そんな感じのようです。一人あたりにしてみるとそこまで悪くないような気もしました。
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今の日本では電気自動車はハイブリッドカーとかわらない・・・

何度も書いてきましたが、もうすぐトヨタからプリウスのプラグインハイブリッドが発売されます。一昨日は日産からエンジンを発電機としてしか使わないタイプの電気自動車(ハイブリッドカー)も発売されました。ハイブリッドカーが主力だった時代からもう一段先に進もうとしている、まさに途中経過の段階と言えるでしょう。
 ここで車雑誌はネットでもほとんど書かれることがない重要な事実を書いておきたいと思います。殆どの方は「電気自動車はCO2を排出しない」と思っているかもしれませんが、決してそんなことはありません。充電器の元をたどれば、地元の電力会社にいくわけで、結局そこでは石炭、ガス、石油が燃やされて発電が行われています。自動車本体でガソリンを燃やすか、発電所まで遡ってもやすかというただ、それだけの違いです。
では電気自動車には全く意味がないのでしょうか?
ということで、最近の講演でたまに話している内容をまとめてみます。
まず日本の一般家庭の標準的な車の利用は13km/Lの車で年間1万kmという状況だそうです。
この状況での一次エネルギー使用量が約27GJ。この話はおそらく講演で100回以上話してきました。
今現在最新型のプリウスに父が乗っているのですが、その実燃費はおよそ26km/L程度
ということは年間の一次エネルギー使用量は約13.5GJ
ここで電気自動車の代表である日産リーフを計算してみました。計算にあたりカタログ燃費で計算しても意味が無いので、ネット上でリーフオーナーが実燃費を公開しているサイトから平均を取りました。
その結果出てきた年間の一次エネルギー使用量はなんと13.5GJ!!
自分で計算してみて自分で驚きましたが、プリウスとリーフの燃費面での環境負荷は全く同じだったのです。あとはバッテリーの製造時のエネルギー等を考えるともしかしたらプリウスの方がエコと言える可能性すらあるのです。
しかしながら、同じ比較においてもこの2台をヨーロッパに持っていって比較すると事情が全く変わります。
例えばドイツですと発電所の燃料の約3割が風力や太陽光発電といった再生可能エネルギーになっています。この場合、プリウスは日本同様、車本体にてガソリンを燃やすことで走っているのですがリーフの場合、必要エネルギーの3割が再生可能エネルギーで賄われたことになります。当然その分CO2排出量も少ないわけです。
ということでヨーロッパではプラグインハイブリッド、電気自動車が日本以上の勢いでどんどん増えていっています。
日本では電気自動車と燃料電池自動車がしのぎを削っていることばかりがクローズアップされます。しかしいまのところ燃料電池自動車も結局はガスからの分離によって水素を作ることを前提としています。いずれにしてもこの2つの方式の環境メリットを引き出すにはもっと再生可能エネルギーを増やす必要があるといえそうです。
ただ、そうでなかったとしても副次的なメリットはあるといえます。電気自動車はフル充電しておけば一般家庭3日分くらいの蓄電はできます。災害時のバックアップ電源としては十分すぎるくらいの量です。また、将来、CO2の回収技術が発展した場合には一箇所でCO2を回収しやすいというメリットもあるでしょう。

とはいえ、こういった大局の検討がなされないまま業界が突き進んでいくのが日本の特徴だといつも思ってしまいます。
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