兵庫県の注文住宅建築設計事務所 松尾設計室のブログ

「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」設計事務所です。

最近お引き渡ししたお客様から感想をいただきました!

最近お引き渡ししたお客様から感想をいただきました!

ご主人様
おかげさまで毎日快適に過ごさせていただいております。 愛犬は目がパッチリとなり、若返ったかのようにジャンプをしてハウスに入っています。 又、妻は今年は肩こりもなく、腰痛も緩和されたようです。 そして何よりも光熱費はびっくりするくらい安くなり驚いています。 本当に心より感謝致します。 秋近くになりますが庭が出来ましたら是非ゆっくりといらして下さい。
奥様
暖冬で感じにくいのかもしれませんが寒さを感じることのない快適な生活で、光熱費は去年と比べてかなりの違いにびっくりするので比較を表にしてみたいなと思っているくらいです。 今まで通りの使い方ではありますが、電気、ガス代だけではなく水道代まで半分近くになっているくらいです。 又間取りも希望通り、その時々の家族構成に対応出来る間取りで、今は五人ですが広さを楽しんで過ごしています。 快適なので用事も活動的に進みやすく、心身ともに良好な生活で本当に感謝しております。
以上です。お客様によって仔細は異なりますがだいたい共通しているのは
・冬暖かく夏涼しいのに、光熱費は前よりも随分下がっている
・何らかの疾患がある方はそれが改善した。(もしくは症状が出なくなっ
 た。出にくくなった)
・休日は家にいる時間が長くなり、家の中で活動的になった。
・家が暖かいので冬の朝や夜に散歩、ジョギング等に出かけるのが億劫では
 なくなった。
・冬の朝起きること、風呂に入ること、トイレに行くことが苦痛ではなくな
 った
・梅雨から夏にかけてうだるような暑さ、湿気、冷房のいずれの不快さもな
 く非常に快適
・昼間照明をつける必要がほとんど無い。
ざっとそんなところです。間取りに関するところは家によりますが、やっぱりこういう感想を聞くために手間と時間がかかる検討、図面を書いているんだと改めて思うところです。

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24時間換気システムの3~4倍に匹敵するレンジフードの熱量②

解決策としての2つの方法

ではどうすれば良いのか?
一般的には2つの方法が考えられる。ひとつは一般的なレンジフードを使いながら、レンジフードに連動する形で気密ダンパーがついた専用の給気口をレンジフードの近くに設ける方法である。今思えば、昔の建物の方がこの方法をとっていたことが多い気がする。だが、最近の建物ではまずこれを採用している住宅を見ることはない。やらないよりはやったほうがいいのだが、難しい点もある。ガスコンロ使用時は、火に近すぎると炎が揺れる。また調理者が給気口とレンジフードの間に立つ位置関係になると、調理者はかなりの寒さを感じてしまう。

ということで、理想的には…というか、常識的には同時給排気型のレンジフードを使うべきである。一般的なレンジフードの場合排気用の直径150mmのダクトしかついていないが、このタイプは給気用としても同じ径のダクトがついている。これを使っても熱量としては同じ量が逃げてしまうが、大半は調理の熱から相殺することができる。少なくともリビングやダイニングの足元を冷気が強烈な勢いで通るということは、ほとんどなくなる。

熱のことだけを考えると、究極のレンジフードとして室内循環式レンジフードというものが数年前から日本でも発売されている。IH専用で、かつフィルターも何種類も交換しなければならないという手間もあるが、冷暖房費が節約できることと、より上質な室内環境が手に入ることを考えると、これもひとつの選択肢となるべき設備である。この手のレンジフードは日本では極めて珍しいが、ドイツではかなり一般化してきているようだ。実際、私はドイツでこれが使われている例を数例みかけた。


換気

               一般的な排気のみのレンジフードと同時給排気型のレンジフードとの冷気の動きの比較

メーカーと施主、両方にとって良い施策とは?
メーカー

現在キッチンメーカーでは、上位4社でレンジフード市場の約85%を占めている

これまで述べてきたように、非常に大きな影響があるレンジフードだが、残念ながら上記で紹介した3方式のうち、どれかが実践出来ている住宅は、日本では今のところ1割もないのではないかと思う。
このような住まいの設備の熱損失量の問題は、建築学科でも教えてもらえない、国の基準にもない、確認検査機関からの指摘もなければ、キッチンメーカーからのアドバイスもないのである。その結果、日本全体として大量の熱と、エネルギーと、CO2とお金が捨てられているのだ。

だれかが基準をつくり、制度化するのを待っていてはどうにもならない。一番即効性があるのは、キッチンメーカー及びレンジフードメーカー自らが動くことだと思う。現在キッチンメーカーでは、上位4社でレンジフード市場の約85%を占めている。この4社がレンジフードのバリエーションを基本的には同時給排気型を推奨するものとし、それが出来ない場合はレンジフードの近くに専用の給気口を設けることを条件とすることでの販売を前提にすればよい話である。
これだと、商品バリエーションを変える必要もなく、キッチンメーカーの売上も上がり、施主の快適性はあがり、光熱費は下がる。まさにメーカーと施主、両方にとって良いことだと思う。
実は、すでにこのうちの2社とは直接この話をしている。あとの2社が動けばすぐにでも実現できる項目だと考えている。

この記事を読まれた読者の方々も以降のレンジフード選定は上記を考え、ぜひ間違いのない選択をしていただきたい。



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24時間換気システムの3~4倍に匹敵するレンジフードの熱量①

レンジフード
大半のレンジフードの強運転の換気量は、なんと400~600m3にもなる

断熱、気密を頑張っている工務店が増えてきた。
そんな先進的な取り組みをしている工務店でもまだ大きく抜けているのが、住まいのパッシブデザインであるということは今までも伝えてきた。その他にもさらに抜けている大項目として、実はレンジフードがある。このことは、あらゆる省エネ系のテキスト等をみてもほとんど書かれていないと思う。

平均的な住宅は120m2(36.3坪)程度である。実際、国のモデルプランも120m2で考えられている。これで平均天井高さが2.5mだとすると容積は300m3になる。建築基準法の0.5回の換気量は150m3/h。しかしながら、大半のレンジフードの強運転の換気量は、なんと400~600m3にもなる。24時間換気システムのちょうど3~4倍に匹敵する。

ここで普通の24時間換気システムによってロスする熱量を計算してみたい。
まず内外1℃差あたりの換気による熱損失量は、
熱損失量=0.34(定数)×150m3=51W/K
となる。この値を床面積で割ると51÷120=0.425となり、これがQ値のうちの換気による熱損失分ということになる。
例えばQ値2.7の建物だとすると2.275が換気以外の熱損失分ということだ。

レンジフードの熱損失量はどのくらいか

レンジフードの場合ややこしいのが24時間換気のようにずっと稼働していないということだ。また、家庭によって利用時間がかなり異なる。そこでJIS C9921-2にレンジフードの使用時間が規定してあるのでそれを使うことにする。ちなみに使用時間の規定は1日6.6時間だそうだ。個人的にはそんなに使う方はいないと思うが、今回はこれに従うこととする。

使用する全員が、強で使用するとは限らないので、強設定の中でも一番弱めの400m3と設定し、前段の24時間換気システムと同様に計算してみた。ただし、1時間の平均値を計算することとする。
内外1℃差あたりの換気による熱損失量は、
熱損失量=0.34(定数)×400m3×6.6/24=37.4W/K
Q値として計算すると37.4÷120=0.31にもなる。

Q値0.31といえば、省エネ基準の気候区分で一地域分違ってくるのと同等である。具体的には東京と仙台くらいの差となる。
しかもこれは、1日に平均しての話。実際に使っている6時間に限定して考えると、レンジフードを使っている6.6時間の間Q値は1.13も悪化していることになる。しかも、大多数の日本の家庭の場合、レンジフードがついている時間は日没後で室温が下がりはじめ、かつ家族が最もよく揃う時間帯であることが多い。

金額にあてはめるとさらにわかりやすいと思う。外気温を5℃室温を20℃として計算すると1日分の換気によるロスは、6.6時間の熱損失量として、
熱損失量=0.34×400m3×6.6×(20-5)=13464Wにもなる。

エアコンの実効COPを3、電気の単価を31円/kWhとすると、13464/3×31×1/1000=139円/日のロスとなる。
一か月なら、4170円ものロスである。効率の良いエアコンですらこの金額なわけだから、それ以下の暖房器具を使っている場合、差額はさらに大きくなる。これは熱量だけの話だが、実際にはもっと状況が悪いともいえるかもしれない。

というのも冬場のLDKは一般的に締め切られている。
大半の日本の住宅の気密性能はたいしたことはないが、一般的に多い20畳前後のLDK(もしくは+和室)だけで400m3も引っ張り出すわけだ。このときばかりは自然給気口からも大量の冷気が入ってくるし、もちろんそこら中の隙間からも冷気が入ってくる。自然給気口はリビング、ダイニングの外壁側にあるので、居住者のいる場所をまともに通過することになる。気流感が不快なのはもちろんのこと、冷たく比重が重い冷気なので足元が特に冷やされる。そうすると不快なのでエアコンの設定温度を上げるか(あげてもほとんど効かないのだが…)こたつや電気ストーブ、ホットカーペットといった極めて効率の悪い採暖器具に頼らなければ我慢できないレベルになってしまう。

もちろんこの悪影響は冬に限ったことではない。夏の冷房時も同じ話である。冷房時は暑く湿った外気をどんどん入れ込んでくるということになる。
弊害はこれだけではない。熱環境的に見た場合の気密性能は低レベルの住宅が多いのだが、それでも大半の住宅において、子どもの帰宅時にレンジフードがついていると玄関ドアを開けにくいという弊害が起こる。現在の玄関ドアは非常に大きく幅90cm高さが2.3m程度の製品がほとんどである。子どもが小さい間、帰ってきてドアを開けようとしてもちょうどその時間帯は調理をしていることが多い時間と重なる。

次回・・・解決策としての2つの方法


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ファイナンシャルプランナーも知らない"住宅ファイナンシャルプラン必須6項目"③

幸せに暮らすためのマイホームが負担にならないようにするために…

次に、どの住宅会社でも最もないがしろにされるのが、冬の日射取得・夏の日射遮蔽である。
筆者の感覚では暖かさの5割、涼しさの7割を占める最重要項目である。再三申し上げているが、南面の1間幅、高さ2m(3.3m2)の掃出しサッシ一箇所につき、晴れていれば、夏冬ともコタツ1台分の熱が出入りする。冬はこれを取り入れること=お金であり、夏は遮ること=お金である。

世帯年収が多くなればなるほど、これらを無視した住宅を設計してもお金(エネルギー)で補填することが可能となってくる。が、最低でも世帯年収が1,000万を超えない限りはこの6項目をひとつでも捨てるべきではないと筆者は考えている。ファイナンシャルプランに関する書籍を読むと、車関連費用、保険関連費用、携帯関連費用…こういった項目ばかりが、削減項目として出てくる。だが、今回ここに紹介した6項目の重要性を書いてあるメディアは今までどこにもなかったように思う。

平均的な家庭の車の走行は、13km/Lの車で年間1万kmくらいである。一次エネルギー換算だと27GJ消費していることになる。対して住宅は平均で75GJと約3倍も消費している。しかも、保険、車、携帯はどれも変更しようと思えば極めて短い期間で変更することができる。また、変更する度に確実に競争や技術革新によりコストが下がっていく項目でもある。しかし住宅は、前述した6項目を考えずに一度採用すると簡単には変えられない。ほとんどの人はその結果を40年以上引っ張ってしまう。
さらに例えば、断熱補強を後から施そうとした場合、新築時に行うよりも数倍のコストがかかってしまう。やはり新築時にきちんと行うことが望ましい。そう考えると、住宅関連経費を節約せずしてまともなファイナンシャルプランなど存在するはずがないことが分かる。更に追加すると、住宅購入に際して3世代で1回のローン負担の欧米に対して、日本では毎世代建替えによるローンを抱えている。

幸せに暮らすためのマイホームが負担にならないようにするためにも、住宅実務者も施主側もこれらの6項目のことを肝に命じておかなければならない。
世帯当たりのエネルギー消費原単位と用途別エネルギー消費
「世帯当たりのエネルギー消費原単位と用途別エネルギー消費」
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「「平成25年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2014)より

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ファイナンシャルプランナーも知らない"住宅ファイナンシャルプラン必須6項目"②

きちんとした断熱性をもった住宅が普及しなければ
“冷暖房のために働く人生になる”かもしれない



欧米であれば、戸建て、集合住宅、新築、既存住宅を問わず、きちんとした断熱性能を持った住宅がそれなりに普及している。しかし、日本では新築ですら、上記の条件を満たしている住宅は非常に少ない。ましてや既存住宅となればゼロに等しい。
しかしながら、南向きマンションの中間階中部屋だけは、断熱性能は低くても、隣家に囲まれていることで、窓さえ強化してあげれば、日本では珍しく良好な室内温度環境を維持できるのである。しかも、南側には必ずといっていいほどバルコニーがあり、これが夏の日射も遮蔽してくれる。

だが、この点に関しても問題はある。
非常に寒冷かつ平均年収が比較的低めの世帯が多い北東北以北ほど、マンション自体が非常に少ないという点である。このエリアでは何とか頑張って上記の項目を満たす住宅を建てる、それが不可能ならばそもそも温暖地に移住するなどしなければ“暖房のために働く人生になる”と言っても過言ではないと考えている。

住宅の質を左右する重要な6項目

1)その土地の次世代省エネ基準の天井、壁、床の断熱基準+実質U値1.7以下のサッシ
2)C値が最低でも2以下、理想的には1以下

の他に残りの4項目も示しておきたい。

3)冬の日射取得(南面からの日射取得)
4)夏の日射遮蔽(南面の庇、東西北面の窓の極小化、Low-E化)
5)給湯器の選択(太陽熱温水器+エコジョーズorエコキュート)
6)エアコンで冷暖房(エアコンが効く家にする。エアコンだけで冷暖房、除湿が完結)

である。

家計が苦しい世帯が住む住宅であればあるほど、これらの6項目は全て満たすようにすべきである。それが出来なければ、イニシャルが安くなっても結局、月々の支払は多くなってしまうからだ。

例えば、「エアコンは嫌いだから輻射型の暖房器具を使いたい」という要望もよく聞く。しかしながら、エアコン以外の器具を選択するということは、エアコンしか選択肢がない冷房器具にプラスして他の暖房器具を設置するということで設備の二重投資となる。また暖房器具は何を選んでもエアコンより光熱費が高くなるということも注意が必要である(※薪ストーブに関してのみ、薪が無料もしくは格安で入手できるのであればこの限りではない)
なお、輻射型暖房の上質な心地よさは筆者も十分に理解している。しかしながら、これらは6項目全て満たした上の次の段階の話であり、これは一種の贅沢というか嗜好といってもいいと考えている。参考のため、下図に暖房器具別単価を示す。

最初に示した「C値が最低でも2以下、理想的には1以下」という項目はこの「エアコンが効く住宅」ということにも密接に絡んでくる。C値が悪い住宅では、空気で冷暖房するエアコンは極めて効きが悪い。またそれ以前にC値が2を切っている住宅では、大半の住宅で採用されている3種換気で清浄な空気質を維持することが不可能である。これは健康リスクにも関わってくる項目なので、その意味でも重ねて重要な事項である。

一般的な住宅では給湯エネルギーが一番多くのエネルギーを使う。これは設計者による一瞬の選択ではあるが、機器が壊れるまでの10年から15年間の光熱費に大きく関わってくる超重要事項である。

暖房器具別単価

暖房器具別単価
 2015年

次回・・・幸せに暮らすためのマイホームが負担にならないようにするために…



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ファイナンシャルプランナーも知らない"住宅ファイナンシャルプラン必須6項目"①

30年とか40年といった想定利用年数で、
かかる総費用が最も経済的になるように考える


実務者が関与できること
住宅実務者が関与できるところは、経済性と健康・快適性であると思う

根本的な話になるが、住宅実務者はお施主様から受注を頂くことで生計を成り立たせている。ということは、そのお施主様を幸せにする、満足させる、ということが最優先であるはずだ。

その中で住宅実務者が関与できるところが、経済性と健康・快適性であると考えている。今までは経済性=工事費だと考えられていた。が、それはお施主様のためではなく自社のための言い訳であると断言したい。

本当にお施主様のことを考えるのであれば30年とか40年といった想定利用年数で、かかる総費用が最も経済的になるようにアドバイスしなければならない。しかしそうしようとすると、工事費の時点で他者に負けやすくなるか、もしくは手間のかかる説明が必要になる。これを避けるために工事費を安くしたがる、という理屈である。
健康・快適性に対して、適切な温度、湿度が重要なのは言うまでもないが、これを実現できている住宅会社、お施主様は日本では非常に少ない。

良質な住宅は、「賃貸か、購入か」より
「室内環境はどうなのか」が重要


金銭的なゆとりがある人だけが良質な住宅に住めば良い、というのは先進国日本においてはあるべき姿ではないと考えている。断熱に関する講演をしていると、「でもお金がなくても家が建てたい人は、たくさんいるんです」という声もよく聞く。
そこで私は次のように考えている。

1)その土地の次世代省エネ基準の天井、壁、床の断熱基準+実質U値1.7以下のサッシ
2)C値が最低でも2以下、理想的には1以下

という2項目を重視するというものである。キッチン等他の贅沢を全て我慢しても、この2項目が満たせないほど予算が厳しいのであれば、その方はそもそも戸建住宅には住むべきではない、というものである。

こう提唱するのには、理由がある。
今現在、ローコスト系の住宅会社でも次世代省エネ基準を謳う会社はかなり多くなっている。しかしながら、窓はU値4.65水準でおさえている会社が大半である。これをU値1.7(樹脂窓ペアガラス、アルゴンLow-E仕様)に変えるだけでQ値2.7から1.9くらいまで向上する。これで室内環境も健康の観点からも、大幅に改善する。
しかも120m2くらいの標準的な住宅であればそのコスト差は30万円程度に過ぎない。詳細は割愛するが、私の試算ではこの差は30年で270万の差につながる。現在ゆとりの無い方がさらに貧しくなっていくような、負の連鎖が続くような選択をするべきではない、ということである。

ということで、このわずか30万すら捻出するゆとりがないのであれば、南向きマンションの中間階中部屋、新築が難しいのであれば、中古を購入すれば良い。その際、可能であれば窓だけ内窓をつけるということも忘れないで欲しい。実際、最近のマンションデベロッパーの中には部屋の位置別による燃費表示をする会社も出てきている。

よく雑誌等でファイナンシャルプランナーによる「賃貸か、購入か」といった議論がなされている。
しかしながら、今回のような提案は未だ見たことがない。これは平均年収が下がり続けている日本においては非常に重要なことである。

平均年収
統計元:国税庁 平成25年 民間給与実態統計調査結果

次回・・・きちんとした断熱性をもった住宅が普及しなければ
“冷暖房のために働く人生になる”かもしれない



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日本、ドイツ、スイスの省エネ基準を比較してみた⑤

最低限の健康と快適性を設計者が担保する

義務基準を厳しくすることが現実であるのは仕方がない。
しかし建築実務者は一軒一軒のお客様の「健康」「快適性」に大きな責任をもっているのはもちろんだが、その建物が存在する限り「CO2排出量」「エネルギー輸入量」にも大きな影響を与えている。
一軒の住宅が排出する一次エネルギーは平均75GJと言われるが、自動車は概算で平均22GJ程度である。しかも平均利用年数は11年なのでしょっちゅう買い替えする上、買い換える毎に低燃費化していく。お施主様の「健康」「快適」はもちろんだが、「自分が携わっている住宅の件数分だけ大量のエネルギー消費量を左右する存在にある」ことを自覚し設計をする必要があると思う。
ドイツでは全分野でエネルギー使用量をいついつまでに何%減らすということを最初に決定している。そこから逆算した場合に、現時点で各分野が何%減らさなければならないのかが、決められている。経営目標もこのように決められると思うが、そのように決めてもそのとおりに行く可能性が低いのは周知のとおりである。逆に行き当たりばったりでやって、たまたま目標に達することなどないのは明らかだ。しかしながら、今の日本の基準は現状の建材、施工の水準や業界団体からの要望等をベースに決まっている。そうである以上、一人ひとりの実務者が責任を持つ姿勢が、非常に重要になってくると思われる。 

もちろん省エネであるということは、ランニングコストが少ないということとイコールだ。この記事で紹介したような住宅を建てると大半の人が非常に安い光熱費で暖かく健康に過ごすことができる。仮に節約派で暖房を全く使わない人でも、最低室温が15℃を下回る箇所がないようにすることもできる。

要約するとどんな生活パターンの人にも、最低限の健康と快適性を設計者が担保することができるようになるのである。
2015年 07月30日
Facebookより
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日本、ドイツ、スイスの省エネ基準を比較してみた④

日本の基準が必要とする「暖房負荷」を考える

次に暖房用一次エネルギーから日本の基準が必要とする「暖房負荷」をどの程度に考えているのかを逆算した。ドイツ、スイスに関しては最初から負荷に関する暖房負荷の基準が出ているのでそのまま使っている。なお、暖房負荷とは「一定温度に室温を保った際に暖房期間を通算してどれだけの熱量が必要かを合計したもの」と考えていただければわかりやすいかと思う。暖房負荷は主に「断熱性」「気密性」「日射取得」で決まるので、暖房器具になにを使うのか?PEFの値がいくらなのかといったことはまったく関係ない。
下図Aにて各国が考える冷暖房負荷を比較してみる。これを見て分かるのは暖房負荷単体でみると、一次エネルギーの比較以上に差が大きいことだ。トップランナー基準の外皮性能をもってしてもパッシブハウス基準からすると4倍悪く、改正省エネ基準だと6倍も悪いということがわかる。これはすなわち、同じ温度を維持するのに4倍もしくは6倍のエネルギーを必要とすることにほかならない。実際に日本の住宅メーカーも含めて暖房負荷を表示している「建もの省エネ健康マップ」を見てもほとんどの大手メーカーは暖房負荷が80~95kwh/m2に納まっていることが読み取とれる(http://tatemono-nenpi.com/map/)。
下図Bでは、6地域以外の地域の冷暖房負荷も比較してみた。これを見ると北海道の中でも1地域においては16倍もの違いが出ている。1地域はドイツの最寒い地域よりも寒いと思われる。よってこのような値が出ると思われる。例えば旭川の1月の平均気温は-7.5℃だが、ドイツ最北部のハンブルクでは1.5℃くらいである。日射量が違うので同じ土俵での比較ではないが、1.5℃というのは福島に該当する。福島は4地域に該当するので1月の外気温が同等の地域で比較すると実に11倍もの差があることがわかる。
ここでもうひとつ制度を作っている人及び大半の実務者、施主が考えている「部分間欠冷暖房」の基準値も比較してみる(下図C)。
これを見ると意外なことが見える。温暖地ほど部分間欠暖房にすると確かにエネルギー量が明らかに小さくなることがわかる。しかし、寒冷地になるほど差が非常に小さくなっている。これも寒冷地では全館暖房が当たり前になる理由のひとつなのかもしれない。
しかし、ここで注意しておく必要がある。部分間欠暖房をもってしてもすべての地域でドイツとスイスが全館暖房したときの基準値を大幅に上回っている。これが意味することは「日本人が寒さを我慢し、健康を犠牲にして生活しても、全館ぽかぽかで暖かいドイツやスイスの住宅よりもたくさんのエネルギーを使ってしまう」ことを表している。また、改正省エネ基準(次世代省エネレベル)が想定している自然温度差(無暖房時の室温)はせいぜい7℃程度である。東京や大阪でも1月の最も寒い日の早朝は0℃くらいになる。ということはこういう日の朝は室温が10℃を切っている可能性が十分にあることを意味する。   
わたしがここで言いたいのは、「だから日本の基準が悪い」ということではない。ドイツやスイスは「人間が健康で快適に過ごしていく上で室温20℃というのは死守しなければならない。しかしながら、CO2削減も絶対に必要である。エネルギー価格は確実に上昇傾向にある。これらの相反する条件を満たすべく目標から逆算すると暖房負荷を極力小さくするしかない」と考えている、ということである。
負荷Kwh表示 比較

次回・・・最低限の健康と快適性を設計者が担保する

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日本、ドイツ、スイスの省エネ基準を比較してみた③

国が義務として定める基準は「最低基準」。
本来は、理想的な水準としての「民間基準」が存在する


ちなみに欧米の大半の国では国が義務として定める基準は「最低基準」というのが一般的だ。行政側が「義務化」できるのは最低賃金に似たようなもので「最低限度」であり、それ以上の「理想的な水準」を義務化することはどこの国とて難しいようである。
なので、どこの国にも「最低基準」として国の基準があり、理想的な水準としての「民間基準」が存在する。日本は「次世代省エネ基準」という悪しきネーミングのために、この「最低基準」であるという認識を持つ人が少なくなってしまったと考えている。構造の分野を見れば明らかであるが、耐震等級1というのが基準法ぎりぎり、理想的な水準である等級3はその1.5倍の耐震性が求められる。これと全く同じ図式だと思う。ちなみに6地域以外にも日本の全地域の基準も比較してみた(下図)。
この計算において日本の基準はそれぞれの地域の推奨仕様に基づいて定められたものだ。要するに寒冷地ほど断熱仕様が高くなっているという前提での基準数値である。ドイツやスイスの場合、立地の寒暖に関わらず、一次エネルギーにしても暖房負荷にしても一律で定められている。その結果、南の方の暖かい地域の断熱材は比較的薄くてもよく、逆に北部の寒冷地は強烈に分厚い断熱材が求められるということになる。
日本の場合、北に行くにつれて若干求められる仕様が厳しくなることは知っていると思う。しかしながら、その地域ごとの仕様を満たしたとしても同じ室内環境を維持する場合には北の方が大量にエネルギーを消費する基準であることがわかる。
もうひとつ日本の基準でどうしても不可解な点がある。それは部分間欠冷暖房のほうが基準値が甘く、全館冷暖房にすると基準が緩くなるということだ。車に例えるなら「軽自動車に乗る人は20km/L以上にしなければならないが、クラウンに乗る人は車が大きいので10km/L以上ならいい」と言っているのと同じようにしか解釈できない。実際、この仕組を悪用して、ゼロエネの補助金確保の際にはわざと全館冷暖房にして基準が緩い状態で補助金を獲得した業者がたくさんいた。
改正省エネ基準


次回・・・日本の基準が必要とする「暖房負荷」を考える

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日本、ドイツ、スイスの省エネ基準を比較してみた②

各国の一次エネルギー比較

一次エネルギーの説明は、細かくなるため詳細は省くが、ガスや灯油は家で使っている量そのもの、電気に関しては自宅が使う分を作るのに発電所で使っている石炭、石油、ガスのエネルギー量と考えていただければわかりやすいと思う。
この際、電気に関しては自宅に来る際、発電所で使うエネルギー量の1/2.7まで目減りしてしまう。この値を一次エネルギー換算係数(PEF)というが、これは各国の発電事情により異なる。各国の事情を比較するには各国のPEFも理解しておかなければ、同じ土俵での比較はできない。
また、一次エネルギーと一言でいっても日本の場合「暖房」「冷房」「換気」「給湯」「照明」「家電・調理」までが含まれている。ところが、パッシブハウス基準の場合「家電・調理」のうち洗濯機や冷蔵庫のように生活に最低限必要ないわゆる「レオパレス家電」しか含んでいない。スイスのミネルギー基準においては暖房、換気、給湯の3つしか含まない。これらの項目も揃えなくては、正確に比較することはできない。そこで実際にこういった項目を揃えて比較してみた(下図)。
日本、ドイツ、スイスの3国に共通する項目は「暖房」「換気」「給湯」だけである。しかし、給湯に関しては日本だけが入浴の習慣がある。また給湯器のシステムも全く異なる上、ドイツ、スイスでは太陽熱温水器の利用が一般的になっていることから含めてしまうと全く意味のない比較になってしまう。そこで「暖房」と「換気」(熱交換有)の状態でPEFも日本と同じ数値に換算して比較したのが黄色の数字である。
こうやってみると、パッシブハウス基準と、ミネルギーP基準はほぼ同等であることがわかる。逆に日本の場合トップランナー基準相当の住宅でも2.64倍、低炭素基準で3.44倍、改正省エネ基準(今までの次世代相当)だと3.88倍も緩い基準となっていることがわかる。
日本の基準は義務基準、パッシブハウス基準とミネルギー基準は民間基準ということで同列で比較するのは酷だが、これだけの差があるということである。


省エネ基準

一次エネルギーの日本とドイツ、スイスとの比較


次回・・・国が義務として定める基準は「最低基準」。
本来は、理想的な水準としての「民間基準」が存在する


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