兵庫県の注文住宅建築設計事務所 松尾設計室のブログ

「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」設計事務所です。

シミュレーションソフトを使いたおした後に見えてくる世界

シミュレーションソフトを使いたおした後に見えてくる世界

建築設計の道に進んで16年になりますが、その間本当にたくさんの
熱環境に関するソフトでシミュレーションをしてきました。
一物件につき何度もやることがあったので、相当回数だと思います。

フリーダウンロードのソフトもとりあえず使ってはみたものの
使い物にならずにやめてしまったものが多いです。そういったソフトは名前すら
覚えていません。

「建もの燃費ナビ」以外で使ったことがあるソフトで有名どころとしては
・QPEX
・ソーラーデザイナー
・SMASH
・国の省エネウェブシミュレーションサイト

が代表的なところです。
燃費ナビができるまでは特に
上の2つのソフトは本当に何度もお世話になりました。

今はもっぱら「建もの燃費ナビ」ですが、こういったソフトをずっと使い続けていると
何が起こってくるのか?を書いてみたいと思います。

まず一般的なQ値計算ですが、何度もやっていると計算する前から+-0.1くらいで
想像できるようになります。

暖房負荷であれば35~40kwh/㎡年といったように5kw単位くらいであれば
ほぼあたるようになってきます。

先日も当社の山口が自分で計算した結果を私に見せる前に
「いくらくらいだと思います?」とはかりにかけてきました。

「だいたいこのくらいだと思うよ」といった数字が最初は食い違っていたのですが
突き詰めていくと、単純ミスがあったことによって私が言っていた数字とほぼドンピシャに
なりました。本来なら2時間くらいかけてやっと答えが出るところですが、慣れてくると
こういった感覚が身についてきます。

正直に言うと、このレベルの感覚がついている人は毎回シミュレーションをする必要はないと
いっていいと思います。必要があるとしたら、補助金等で提出を求められたときやお施主様への
説明時に必要なときくらいと言ってもいいかもしれません。

毎回、限られた予算の中で費用対効果が高い項目から順に予算を割り振れている場合、シミュレーションを
してもしなくても結果が変わってくることはまずありません。

しかしながら、ここまでに達するには相当数のシミュレーションをこなし、なおかつある程度
のセンスも必要になってきます。この域に達していない場合はやはり必ずシミュレーションはする
必要があります。

先日も講演後の懇親会でとある工務店の社長さんが質問してこられました。「今自宅を建設中なんですが
〇〇という断熱材を使い、こんな暖房方法でやっています。なかなか先進的だと思うのですがいかがでしょう?」

という感じでした。
そこで
「Q値はいくらでC値はいくらくらいですか?」
と聞いたところ
「それはわかりません。計算もしていません。」とのことでした。
この方はまだ熱心なほうですが、それでも世の中の大半の工務店さんはまだまだこのレベルです。

深く聞いていくと、屋根以外は最低限はクリアしていそうだというのはなんとなく分かりました。
しかし、この方が
「熱環境でもやっぱりそこまで計算しないと駄目なんですかね?」と言われました。

そこで私は
「ではあなたが、今から7階建ての鉄筋コンクリート造のビルを必要な職人を集めて
 設計、施工とも自分の思うように作っていいとします。そのビルが「安全である」と
 確信が持って住めますか?また実際に安全だと思いますか?その場合、怖いので
 基本のスパンや鉄筋量は満たされないままに、制振ダンパー棟の余計な設備ばかり
 はどんどんつけていくことになると思います。その結果、耐震性は不足しているのに 
 価格は大幅オーバーになる建物になると思いませんか?このやり方でも奇跡的に
 まぐれで強度が出ている場合も有り得ます。しかし、それはあくまでもまぐれです。」
と言った瞬間にそれまで、附に落ちていなかったことがきれいに理解してくださいました。
自分で説明しながら、「今後はこう説明しよう!」とも思いました。

このような場合、この社長さんがもし過去に構造計算事務所に1年でも勤務経験があり
シミュレーションをしなくてもだいたいの断面寸法や鉄筋量の「あたり」をつけられる
方であったなら、計算していなくても私は安心してそのビルに住めると断言できます。
しかし、そういったその道の経験者(熟練者)でない方が勘でやってうまくいくはずが
ないのです。

熱環境も「熱環境工学」という言葉があるように完全に物理学であり工学です。
不確定要素が多いので完全に計算通りにいくというものではありませんが、
計算しているとだいたいそれに近い結果は得られます。

残念ながら、99%の住宅は個別にこのような温熱の計算がなされていないか
もしくは「温熱勘」がない方によって設計されています。その結果、殆どの家が
冬寒く、夏暑い家になってしまっているというのは見事に
「適当にやってもまず結果は出ない」という結果がでているのです!

初めて作る料理をレシピなしで上手に作れますか?
というのにも似ていると思いますし、
一流の料理人になればレシピなどなくても構わなくなってきます。

この文章は一般の方にもたくさんの方に読んでいただきたいと思いますが
実務者の方にもぜひ読んでいただければと思う次第です。

そんなわけですが、明日から一週間フランスに行ってきます。フランスの様子も
お伝えできればと思っております。



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