兵庫県の注文住宅建築設計事務所 松尾設計室のブログ

「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」設計事務所です。

日本の熱環境のトップの方にあってきました。

日本の熱環境のトップの方にあってきました。

大阪で建築研究所の理事長、坂本雄三先生の講演会があったので聞きに
行ってきました。

坂本先生は昨年まで東京大学の熱環境の教授をされており、退官された後
建築研究所の理事長に就任されました。

学問の世界では東大の教授というのがトップだと思いますが
公務員として考えると建築研究所の理事長というポストの方が
上のようです。

よく公務員としてのトップは建築分野だと国土交通省の事務次官だと言われますが
建築研究所の理事長というポストもそれと同等だという話を聞いたことがあります。

建築研究所は日本の建築物に関するあらゆることを研究し、建築基準法等の基準を
決めているおおもとになっている機関です。昨日改めて気が付きましたが、現在の
トップが熱環境の坂本先生、先代のトップも同じく熱環境の村上先生
(東大名誉教授、元慶応大学特別教授、かつ元日本建築学会会長)
と日本の建築学の世界のトップは熱環境の教授がでした。そう考えると熱環境の世界が
そんなに弱いはずもないのにどうして日本の熱環境の基準はこれほど弱いものに
なってしまったのか・・・?そこは少々疑問に思いました。

このお二人の先生は日本の熱環境の世界では紛れも無く2大巨頭です。
村上先生には2005年にサスティナブル住宅賞を受賞したときに
表彰状をいただきました。その際「松尾和也殿」といって手渡されたというだけの
つながりしかありません。

坂本先生に関しては講演を聞いたことはありましたが、話をしたことはありませんでした。
しかし、昨日お会いしてご挨拶に伺ったところ
「ああ、あなたが松尾さんですかインターネットでも拝見しておりました。
お会いできて良かったです」と言っていただきました。
わたしごとき、若輩者を存じてくださっていたことに驚きました。
ちなみに、坂本先生が退官された後をついで教授になられたのが
わたしが九州大学時代助教授をされていた赤司教授です。
20年近く前に同じ研究室にいた方が、日本の建築学会のトップにまでなられた
のはすごいことだと初めて聞いたときは本当に驚かされたものです。

昨日の講演を聞いている中で、いろいろと気づいたことがありました。

それらをまとめてみました。(聞いた上で私が思ったことも含めて書いています。)
・基本的にやはり熱環境工学は工学であり、基本的な考え方は私や仲間の方々と何ら変わらない。

・次世代省エネ基準は「ある意味中途半端な基準、あのレベルでは寒い」とおっしゃっていた。

・「断熱義務化反対」という声の方もいろいろとおられるなかで義務基準を高いレベルに
 することは難しいということ

・欧米では国の基準は「最低基準」であり、「理想的な基準」は民間の各団体が掲げている。
 実物件はこの間のどこかに存在する。これに関しては日本でも構造に関しては既にそうなっている。
 建築基準法を満たしているだけの住宅は「等級1」でしかなく、最高等級は等級3で基準法の1.5倍の
 耐震性が求められる。このように熱環境の世界だけが「次世代省エネ基準」という「最低基準」を
 クリアすれば「あがり」という状況になってしまったのは「次世代」というネーミングも大きく
 影響していると思われる。

・「家一軒あたりが使用するエネルギーは欧米に比べて少ない。これは日本のエネルギー価格が高いから」
 とおっしゃっていました。確かにそうだと思いますが、「寒さを我慢しているから」「寒いのがあたりまえだと
 思っているから」ということには言及がなかったのは少々残念な気がしました。

・全体的に話を聞いている中で、「次世代」は最低限の水準であり、我々がやっている水準は
 「豊かな生活を省エネと同時に実現できる」というふうに認識されている

実際に坂本先生は現在「yucaco」というQ値1.5程度、エアコン1台で家全体を冷暖房できるという
住宅を実際に作り、実測もしておられます。坂本先生も、省エネと健康、快適性をすべて共存させるには
この方法しかないという結論に至っているようです。
これは、坂本先生、私だけに限らず、西方先生を含む新住協、新潟のオーブルデザインさんといった
学会、実務の世界を通して見ても極められた方々が行き着く結論であると思います。

同じく東大の前准教授もよくおっしゃいますが「最低基準を理想的な基準にまで引き上げることは
越権行為であり、そこまではできない」とおっしゃいます。それは全くそのとおりなんでしょう。

欧米では民間から様々な高性能化のうねりがあって今の状況ができあがっているようです。
私はパッシブハウスジャパンという団体を通して、民間から盛り上げようとしていますが、
やはり、「基準がどうこう」と言っているだけではなく、実務者一人ひとりが、「理想的な住宅」
をつくろうとしていく姿勢こそが重要であると思います。

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