兵庫県の注文住宅建築設計事務所 松尾設計室のブログ

「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」設計事務所です。

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なんともいえない気持ち悪さを感じました・・・

枚方T-siteに行った際、ちょうど本屋の階に住宅特集が置いてあったので久しぶりに購入しました。
というのも知り合いの作品が沢山でている「環境住宅新時代」
という特集だったからです。
伊礼さん、みかんぐみの竹内さん、モルクスの佐藤さん
元東大の前研究室にいらっしゃった高瀬さん等々です。
まずはこれらの作品から順にじっくりと拝読しました。
これらの作品については何ら違和感がありませんでした。
逆に「さすがだなあ」と思わせるところがたくさんありました。
その他の作品にもいいと思うものもありましたが、幾つかの作品に
おいてかなりの気持ち悪さを感じました。それは以下の様な理由です。
・ものすごく複雑なシミュレーションをしました・・・
・非常に手間のかかる装置をつけてみました。
・とりあえず冬至と夏至の線をかいておきました
・省エネ基準に関してはポエムではぐらかしてみました
というだけのように感じられる作品紹介がそれなりにあったからです。これだけ熱環境にこだわって20年近くやっていると
その建物の立地(地域)、隣家の状況、平面図、方位、断熱仕様が
わかればどの程度の省エネ、温熱環境が実現できるのか?また一定の暖かさを得るためにはどの程度の暖冷房費がかかるのか?ということをそれなりの精度で推測できるようになります。
気持ち悪さを感じた物件というのはものすごく、手間、お金、理屈が並べられているのに、明らかに結果が伴わないことが見て取れるからです。
住宅特集といえば、住宅建築家であれば一度は掲載を夢見る最高峰の住宅雑誌だと思います。正直住宅特集の住宅に環境性能などを求める事自体が無粋とさえ思えます。
しかしながら、「環境住宅新時代」と銘打つのであれば、このような紙面にはしてほしくなかったと思いました。これがもし全物件、国のウェブプログラムで同条件の計算結果が掲載されていたらまだ納得出来たと思います。
それがなかったとしても、大半の物件において、結果が伴っていたとしたらそれでも納得することができました。しかしながら、どちらも実現されていません。
こういうことをやるのであれば、従来通り「デザインよければすべて良し」という方向性でやってくれればこのような気持ち悪さを感じることはなかったであろうと思いました。
今、自動車業界では三菱自動車、スズキによる燃費計測方法不正問題で賑わっています。しかしながら、住宅業界では平均的に自動車の3倍のエネルギーを喰らい、3倍以上の期間使い続けられるにも関わらず燃費表示そのものがありませんでした。ようやく国のウェブ
プログラムが唯一の共通指標になろうとしています。
そのことに対して「それだけでは測れない価値のようなものが無視されるのはよくないことだ」という論調もよくみかけられます。たしかに省エネ、温熱に関すること以外であればそんなことがたくさんあるのは百も承知です。しかし、車で考えてみてください。
ジウジアーロやピニンファリーナといったデザイナー(デザイン会社)が、「JC08では測れない燃費の味ってものがあるんです」と言ってるのに近いものが有ります。意匠系で有名な建築家
には小説家顔負けのような難解でかっこ良く見える文章を書かれる方がたくさんいらっしゃいます。
よくよく読んでみると燃費規制に乗らないために、はぐらかすだけの文章だったりする例を何度も見てきました。今回の特集号、かなり本格的に熱環境工学を勉強している人でなければ読めば読むほど省エネ住宅というものが分からなくなってしまうと思います。それも気持ち悪さを感じた原因のひとつです。
このような例を見ると、簡略化されすぎているだの、基準レベルが低すぎるだの、高すぎるだのいろんな意見はありますが、国のウェブプログラムで計算した結果を一律で表示することの意義は非常に大きいということを改めて実感しました。
一般の方はもちろん、プロの建築士でも上述のように諸条件を見ただけで結果を推測できる人はほとんどいないはずです。であればこそ、メディアが環境特集をやる際は共通の指標での提示が必須であると思いました。その上で共通の指標で拾いきれないポイントに関しては独自計算にて結果を補足すれば良いと思うのです。その際の注意ポイントは過程も重要ですが
「それをやった結果何GJ減るのか?」もしくは「光熱費が何円抑えられるのか?」ということです。
そうでなければ、意味のないなんちゃってエコ対策にお施主様の貴重な予算が割かれてしまうからです。自宅の設計であればいいですが、試作できない建築の世界でその人が一生住むであろう住宅での人体実験は本当に痛々しく思えてなりません。
最後にもうひとつ感じたことがありました。自分はやっぱり「トータルで経済的な住宅を一人でも多くの方に届けたいんだ」ということでした。究極の「作品」を作って住宅特集に載ることに特段の執着を感じません。しかしながら、2000万円台でサラリーマンが頑張れば買えるような「健康で快適な省エネ住宅」をその予算の範囲でできるだけ綺麗にデザイン
してたくさんの方に普及させる。そうすることで一人でも多くの方が住宅にまつわる失敗をすることがないようにする・・・。
私のモチベーションの原点はそこにあるということを今回の紙面を見ていて改めて感じました。これをやるにはどの部材、設計がどれだけ性能に影響するのかということを端から端まで理解しておく必要があります。私はそこに面白さを感じます。「予算無制限で最高の料理を作るよりも、500円の予算でできるだけうまいものを作ってやる!」そんな感じです。(もちろん予算が大いに越したことはありませんが・・・)
それが原点であるからこそ、毎回特異な形状をひねり出す必要がありません。
「お施主様の要望と、太陽に素直に設計し、それをデザイン的に整える」これが私の設計手法ですが、今後共この設計手法が変わっていくことはないでしょう。
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