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兵庫県の注文住宅建築設計事務所 松尾設計室のブログ

「健康で快適な省エネ住宅を経済的に実現する」設計事務所です。

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エアコン完備の軽自動車とエアコンがないスーパーカーならどちらに乗りますか?

エアコン完備の軽自動車とエアコンがないスーパーカーならどちらに乗りますか?
松尾和也·2018年1月2日(火)

前にもこれに近い文章を書いたことがあります。今回はさらに掘り下げて書いてみたいと思います。
 この文章で言いたいことは「夏暑くて冬寒いスーパーカー」と「夏冬とも快適だが特別な魅力はない軽自動車ならどちらに乗りますか?」ということです。もちろんこの質問の意図を明確にするためには諸条件を整理しておく必要があります。
・スーパーカーに興味があるかどうか?もしくは買える所得層かどうか?
・乗る季節がいつなのか?
・仮にスーパーカーをもらえるのだとしたら転売していいのかどうか?
・その車がメインの一台なのか予備の車なのか?
このようなことを整理し
「スーパーカーに興味があり転売はなしで、メインで年中乗る車とする。」というような条件を想定しているとお考え下さい。
これを聞いた時に車好きの方なら「エアコンつけるのって夏と冬だけだろ?」って思われるかもしれません。もっと詳しい方なら「エアコンついてなくても冬はエンジンの熱で暖房だけは効くから夏さえ通風で我慢すりゃいいんじゃねえ?」って声も聞こえてきそうです。確かに、車のエンジンルームは1000℃を超えると言われています。よって冬に関してはこの熱気の一部を室内に流してやるだけで十分すぎるほど暖かくなります。ということでどんな安くて古い車にも暖房設備だけは装備されているのはこういう理由になります。通風に関しても自ら自走することで風を生み出す自動車は住宅の通風に比べれば、100倍ましと言えるでしょう。それでも梅雨時期(6月上旬)から9月末にかけてまでの3ヶ月半ほどを今の強烈な暑さの中で通風だけで耐えることがどれだけ過酷なことかはいうまでもないです。このように冷房・除湿に関しては約3ヶ月半ですが、暖房に関しては10月末から4月頭まで約半年も必要になります。これを勘違いして、単純に四季だから夏3ヶ月、冬3ヶ月と甘く見積もり過ぎていることが多いのが現実です。
 次に車の乗車時間と住宅の居住時間を比較してみたいと思います。車の年間平均走行距離は約1万キロと言われています。それを単純に365日で割ると約27.4kmとなります。平均時速を約30kmとすると、おおよそ1日1時間の滞在時間となります。ドライバーにとっての時間占有率は1/24=約4%ですが、4人家族一人あたりの時間占有率は1/24*4=約1%にしかなりません。
それに対して住宅は家族の平均外出時間を朝8時、平均帰宅時間を夜7時と仮定すると平均滞在時間は13時間、4人家族一人あたりの時間占有率は13/24=54%と車の54倍にも相当する時間を過ごしていることになります。
 ちなみにですが、自家用車の平均所有年数は8.4年、住宅の平均寿命は恥ずかしながら26年と言われる事が多いです。こんな諸外国に比べると著しく短い日本の住宅の平均寿命ですが、それでも車の3.1倍の保有期間だと言えそうです。でもこの計算、個人的にピンと来ません。そこで別の考え方をしてみました。私自身はじめて車を購入したのが23歳のころだったと記憶しています。そこから仮に75歳まで車を運転するとします。そうすると52年間車を運転することになります。これをさきほどの8.4年で割ると6.2台となります。それと一般的な人が住宅を購入する軒数ですが、多いのは1軒、良くて2軒だと思います。かなり多いとみてちょうどあいだの1.5軒になります。6.2/1.5=4.1倍となりこちらのほうが現実に近いと思います。
 次に車と住宅の容積を比較してみます。全車種の平均室内容積というのが出ていました。それによると平均は3419.1L=3.4㎥だそうです。それに対して平均的な住宅の室内容積はおよそ300㎥あります。この差は88倍にもなります。
 これらを総合的に考えると
時間占有率54倍✕所有期間4.1倍✕容積88倍=19843倍!!という2万倍近く住宅の冷暖房の重要度が高いというとてつもない数字が出てきます。

 ここで自動車メーカーがどのように空調設計をしているのかを考えてみたいと思います。御存知の通り、最新の国産車において冷暖房の聴きムラのようなものはほとんど存在しません。たった、2シートから8シートくらいの座席数ではありますが、どこに誰が座っても、個別の温度調節さえ可能な状況となっています。それによって平均的な全体最適化がなされていることは大衆車でも出来ています。高級車になると暑がり具合、寒がり具合に応じた個別の調節まで可能になっています。これが出来る理由は一品大量生産であるがゆえに、空調設計専門のエンジニアがしっかり時間と手間をかけてシミュレーション及び実験を積み重ねて商品化しているということがあげられると思います。
 ひるがえって住宅の空調設計を考えてみます。私が数百社の工務店を見てきた上での結果は次のとおりです。
レベル1
・冷暖房計画は家電量販店任せ(車でいうならオートバックスに頼んで下さいということ)
もう少しましな工務店になると
レベル2
・LDKと主寝室だけはつけておきます。車でいうならドライバーズシートのエアコンだけは効くようにしておきます。しかし、「難解な容量計算は技術的に持ち合わせていませんのでイニシャルコストもランニングコストも多めにかかりますがとりあえず効かないことがないように大きめのエアコンをつけておきますね」という状況
冗談みたいな話ですが、上のふたつで98%か99%を占めるといって間違いありません。
レベル3
・かなり力を入れている工務店になってはじめてとりあえず家全体を温めたり、涼しくしたりするように考えている会社が出てきます。しかし、その会社のうちのこれまた大半が冷暖房器具の必要十分の容量設定という最適化の設計は行われていません。要するに上述の「難解な容量計算は技術的に持ち合わせていませんのでイニシャルコストもランニングコストも多めにかかりますがとりあえず効かないことがないように大きめのエアコンをつけておきますね」とレベル2と同じ状況なんですが、少なくとも全体を1台から2台程度の少ない台数で回している会社が多いのでレベル2のやりかたに比べると「大きめ」の度合いがかなりましにはなっています。これらの会社はサボっているわけではなく、かなり先進的な会社だと言えます。
レベル4
実務者がエアコンの容量最適化を実務レベルでできるようになったのは実質的に2017年以降だといえる現実が有ります。そのようなことを検討できる実用的なソフトがなかったこと。また、そのやりかたを解説しているウェブページもなければ書籍も論文もほとんどなかったことがその原因です。私が知る限り、この計算を自社で理解して計算可能な実務者は現時点で日本に10人いるかいないかだと思っています。このレベルになってくると梅雨時期に寒くならない全館除湿、冬期の全館加湿といったほぼ完璧な湿度調整能力まで実現するところも出てきます。
御存知の通り2020年の高断熱義務化に向けて断熱は自動的に進んでいきます。しかしながら、ここで説明しているような「家全体を涼しくしたり、暖かくしたりするための設備的な指針」のようなものは一切示されてもいませんし、示される気配もありません。今、一条工務店、桧家住宅、ヤマト住建といった錚々たる住宅会社がレベル3に到達しているといえます。そしてこれらの会社が御存知の通り非常に伸びています。その他にも近日中にレベル3を実現しようとしている会社を何社も知っています。三井ホームに関しては業績こそ下落基調ですが、7割がレベル3(全館冷暖房装備)になっているとのことです。おそらくですが、10年後にはレベル3を達成することは新築においては当たり前になるだろうと推測しています。
全館冷暖房設備だけを入れればいいのかと言うとそう単純な話ではありません。従来型のメーカー推奨の全館空調システムは原価で250万円オーバーのものが多くとても使い物になりませんでした。しかし、今各社が取り組んでいるシステムは一種換気込みで100万円を切るのではないかと思われるようなシステム構成ばかりです。どうせ、下手に各部屋に個別のルームエアコンを設置するだけで100万近くいったりすることは普通です。しかもランニングも高くなるし、目障りだし、冷房病になりやすいし、音は気になるし、室外機と配管はデザイン的にも場所的にも邪魔だし・・・と悪いことづくめです。
仮に、原価100万円を切るシステム構成にたどりつきそれを導入したとしても、そういうシステムは一定レベル以上の建物性能があることを前提に組まれています。そこを満たしていないとそもそも「効かない」というクレームになる可能性が高くなります。地域によって最低気温、日射量、物件によって形状、面積、日射量、が大きくことなります。それらに合わせて設計する能力が必要となります。
 また、このように家全体を暖かく、涼しくすることができるようになると、その次に訪れることは「言い逃れすることができない性能差が如実に現れてくる」という現象です。ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、全館暖房が当たり前の北海道では一般の主婦が「うちの家は一冬で灯油何リッター使う」ということを知っています。これがその他全てのエリアでも起こってきます。本当に断熱、気密、日射取得、上手な冷暖房計画が出来た上で、上手な住まい方がトータルで出来ていないと、良い結果は出てきません。今までカタログと営業トークだけで「結果(実燃費)」に関しては全くの無法地帯であった住宅性能がたちどころに明らかになるということです。ご承知のように今はSNSがあります。自動車の世界には既に数年前から実燃費を統計的に表示するサイトが実現されています。
https://e-nenpi.com/enenpi/
住宅においてもおそらくこういうサイトが出てくるはずですし、出てこないようであればパッシブハウスジャパンで省エネ健康マップを作成し開示したときのように、自分で作ればいいとも思っています。
http://passivehouse-japan.org/ja/ecomap/
ここからが、今年の誓いです。過去数年で300回近い講演を様々な団体から呼ばれて出来る限り断らずにお引き受けしてきました。その中で聞いてくださった実務者のうち約10%の方が実際に行動に移してくださったという実感があります。その10%の会社さんは大半が非常に勢いのある会社さんばかりです。しかし、一回の講演受講だけでは「モチベーションに火がつく」ことがあってもそれを実現するための実務能力が身につくところまでは当然いきません。ファンになってくださった方は何度も何度も聞きに来てくださいますが、それでもやはり初心者のために「モチベーションに火をつける」ことが目的なので毎回深みを増していくということができません。実際レベル4に到達する能力を得るためには最低でも担当者が宿題は別途必要の上で8回以上の勉強会をこなす必要があると考えています。
一昨年くらいから、こちらが何も言っていないのに「ご指導下さい」と言ってこられる工務店さんが出てきました。最初にお声がけいただいた2社は何度も何度も時間をかけて勉強を繰り返すことでかなり自分のものとすることができるようになってきました。今現在、あとの2社も取り組みをはじめたところです。今年からは年に10社ほどが限度になると思いますが、このような依頼をお引き受けしようと思います。当然ながら講演回数は少し減ると思います。要望が多い場合、社会及び省エネへの影響が多い方を優先したいので年間着工棟数の多い企業、こなせる企業数を増やしたいので往復時間数が短い企業さんを優先的に対応させていただきたいと思います。(費用は規模が大きくても変わりません)もちろん依頼が殺到しない場合は先着順で対応させていただきます。
これを受講していただくことで下記のことができるようになります。
・自力計算
・自力検証
・自力解決
・自力リスクヘッジ
・トータルコスト最適化
・客観的優位性の説明能力
なお、「簡単に身につくことは、簡単に真似される」こととイコールです。まだ、レベル3以上に達している企業が少ない今のうちに身につけておくべきだと考えています。
講演は人から依頼されてやるものでした。全国44都道府県を延べ300回程度まわり、もうやる気のある工務店さんのお耳にはだいたい話しをお届け出来たかなという感触があります。ただ、自分からこのようなことを書いていない状況で依頼してこられる勇気ある工務店さんは非常に少ないのは当たり前の話です。そこで、実際にいい家をたくさん作れるようにやる気のある会社さんを応援することが、住宅業界の底上げ及び先導になると考えたのでこのようなことを考えた次第です。
費用、必要時間等もほぼ確定しています。が、基本部分を崩さなければある程度ご要望に沿った形での対応も可能です。ご興味のある方はご連絡下さい。
松尾和也さんが写真2件を追加しました。
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